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ロシア公式文書「産経は事実を歪曲する新聞。取材に応じるな」誤って産経に発送される 

露外務省報道官様 「産経のインタビューに応じるな」 公式文書をあろうことか産経に発送 「たるんでませんか?」
拝啓 ロシア外務省ザハロワ報道官様

貴職の発した公式文書がモスクワ支局に届いたのは2週間ほど前のことです。

「産経新聞は日本の主要活字メディアの中で、ナショナリズムの方向性によって特別の地位を占めている。
ロシアに関する多くの記事は批判的、時に攻撃的であり、事実はしばしば歪曲(わいきょく)され、否定的な見地で伝えられる。最近の反露的な報道も踏まえ、同紙のインタビューには応じるべきでないと考える」
書簡は私たちが取材を申し込んだ某国家機関に宛てたものですね。それがあろうことか、私たちのもとに届いたのです。

露外務省には平素よりたいへんお世話になっており、事を荒立てるつもりは毛頭ありません。
この種の文書を作成することも、貴国では外務省の重要な業務なのでしょう。「事実を歪曲」などという完全な中傷には抗議しておきますが。

何より心配なのは、大国ロシアの外交を担う外務省が、公式文書を誤って発送するという初歩的ミスを犯した事実です。
最近のロシアの官庁は大統領閣下の追従に熱心なあまり、本質的なところで劣化しているような気がしてなりません。日露間の最大懸案である北方領土問題には、ぜひ気を引き締めて臨んでいただきたいものです。敬具(遠藤良介)
http://www.sankei.com/smp/column/news/160602/clm1606020008-s1.html


 
6 :
2016/06/05(日) 16:21:05.39 ID:ISHom5wr0
ロシアの声「」

8 :
2016/06/05(日) 16:21:25.30 ID:76ZMSdvR0
この文書自体産経に捏造されとるやろ

254 :
2016/06/05(日) 17:28:32.16 ID:NmYHm8vup
>>8
マジかよ朝日新聞最低だな


9 :
2016/06/05(日) 16:21:52.97 ID:C0tTbJ9j0
最近でもサミット中に伊勢の神宮で安倍がオバマを出迎えてただ橋を歩いていただけなのに
「にこやかに談笑しながら歩いていた」と書くくらいだからな


11 :
2016/06/05(日) 16:22:02.95 ID:sshdytOh0
ロシアよく分かってるじゃん

19 :
2016/06/05(日) 16:22:45.33 ID:gEUT+RLx0
ロシアさんわかってるね

22 :
2016/06/05(日) 16:23:15.49 ID:flsbp2mY0
KGB情報網の正確さは異常w

23 :
2016/06/05(日) 16:23:26.05 ID:9/dVgIRqM
わざとだぞ低レベル産廃

25 :
2016/06/05(日) 16:23:31.32 ID:Vq1L4MyM0
答えないから取材すんなよ、ってことだろ

29 :
2016/06/05(日) 16:23:40.65 ID:iw7gnJcG0
ロシア流の「次は無いぞ」ってメッセージだろ
何ヘラヘラしてるんだ ロシアだぞ


30 :
2016/06/05(日) 16:23:42.60 ID:hqlk9/zh0
涙目でこの記事書いてるんだろうなと思うと面白いね

34 :
2016/06/05(日) 16:23:55.24 ID:IH+w8czF0
ロシアのこと唯一舐めてる国が日本だよな
アメリカも最近なめてるけど


35 :
2016/06/05(日) 16:24:10.27 ID:Wke/o05tM
最近の○○の○○は○○閣下の追従に熱心なあまり、本質的なところで劣化しているような気がしてなりません。

38 :
2016/06/05(日) 16:24:29.01 ID:t+lDXSx30
産経思わぬ所から援護されたなw
株上がっただろこれ


40 :
2016/06/05(日) 16:24:33.01 ID:JlJq3BeI0
一流のロシアンジョークだろ

41 :
2016/06/05(日) 16:24:33.63 ID:jb2RvX8W0
ロシア流石だわ

43 :
2016/06/05(日) 16:25:10.86 ID:cBrwSsvy0
産経が一応新聞扱いされてるじゃん
良かったな


46 :
2016/06/05(日) 16:25:28.46 ID:z0E3B+I/0
日本語で挑発しようが北方領土問題は黙ってるだけで相手はいいのが悲しいよね
戦争後期の連合国の密約とか会談内容は流石にひっくり返らないんだよなぁ


49 :
2016/06/05(日) 16:26:13.10 ID:6KdUUYtQp
ネトウヨは事実を歪曲する

50 :
2016/06/05(日) 16:26:14.39 ID:mfJBf+iUa
わざとに決まってんだろ

51 :
2016/06/05(日) 16:26:14.58 ID:l2Glwnlm0
ロシア「わざとです。そして内容は事実です」

53 :
2016/06/05(日) 16:26:31.04 ID:Lr+Cv8gT0
ロシアのうっかり属性は異常
あいつらいくつ伝説作る気だよw


54 :
2016/06/05(日) 16:26:44.35 ID:RHUmARGMa
これ知らせてるだけじゃねーの?

55 :
2016/06/05(日) 16:26:46.44 ID:o4JEDYi6M
産経が釣られているのでは...

56 :
2016/06/05(日) 16:27:05.86 ID:pZHVJ2Gz0
お前ら取材に来るなっていう意味だろ
感じろよw


62 :
2016/06/05(日) 16:28:36.66
アメリカが中国大使館誤爆したのと一緒だろ

63 :
2016/06/05(日) 16:28:51.10 ID:OyTswyco0
産経の嫌われっぷりは異常

64 :
2016/06/05(日) 16:28:53.93 ID:c4vDT7lZ0
産経言論の自由のしんがいだぁ~

67 :
2016/06/05(日) 16:29:23.74 ID:Fb6oXdr30
産経が歪曲して報道なんて日常茶飯事だからなあ

69 :
2016/06/05(日) 16:29:30.49 ID:JJUxN+jGp
わざと教えてやってんだよ安倍ポチ産経よ

70 :
2016/06/05(日) 16:29:42.19 ID:JyIb4ZWv0
間違えたように装ってわざと送られてきてんだよ

72 :
2016/06/05(日) 16:30:09.80 ID:AZUAw9HH0
ロシア外務省「ジャップの報道機関はアホすぎて皮肉や恫喝が通じないぞ・・・」
ロシア外務省「しかもドヤってるし・・・」


74 :
2016/06/05(日) 16:30:12.40 ID:nJxuhpjm0
わざとなのに発狂してる

77 :
2016/06/05(日) 16:31:22.98 ID:HGRx/WK30
これわざとやってると思うんだけど
産経記者の知能じゃ理解できないか


79 :
2016/06/05(日) 16:32:08.18 ID:ztHV4yu70
産経にロシア語読める人間がいたんだ
日本語・ハングルとあとはせいぜい英語くらいだと思ってた


80 :
2016/06/05(日) 16:32:32.70 ID:M1fm4Bqc0
もうロシアにそんな影響力ないよ

84 :
2016/06/05(日) 16:33:34.83 ID:YD8TW7xG0
国際認定で嘘つき新聞

85 :
2016/06/05(日) 16:33:40.96 ID:/HzH3BHF0
わざとに決まってんだろロシアがどんな国かも知らんのか

86 :
2016/06/05(日) 16:33:50.87 ID:fXrOAIDm0
ロシアンジョークおもしれーな

87 :
2016/06/05(日) 16:33:58.50 ID:Fb6oXdr30
キレ方がまた幼稚なんだよな
何から何まで幼稚だ


88 :
2016/06/05(日) 16:33:58.75 ID:RSqbXdISd
文体がキモい
ネトウヨっぽい


93 :
2016/06/05(日) 16:35:15.39 ID:2bUM8YoN0
産経のやらかし

キューバのスカトロ議長
ユリウス・カエサルはローマ初代皇帝
ブラジルでの買春方法教える
江沢民死去デマ
安倍ちゃん「リーマンショック前とは言ってない」→産経読売に書いてた

他になんかある?


111 :
2016/06/05(日) 16:38:24.10 ID:ZByJv/o40
>>93
オッペンハイマー自殺


127 :
2016/06/05(日) 16:40:33.40 ID:OS+1wr4s0
>>93
そろそろ打線組めそうだな


227 :
2016/06/05(日) 17:17:03.77 ID:Ev0Iyd280
>>93
阿比留産経新聞読んでないことがバレる


228 :
2016/06/05(日) 17:18:31.09 ID:3/TylHS2a
>>93
はっきり強制連行って書いてあった件は
朝日ですら書いてないのに


264 :
2016/06/05(日) 17:33:12.95 ID:U/h31TsD0
>>93
トルコの首都はイスタンブール


94 :
2016/06/05(日) 16:35:41.78 ID:y5KO02Eja
弛んでるのは産経もだろ

96 :
2016/06/05(日) 16:36:11.08 ID:PQeXByxQ0
産経って日本人らしい新聞なんだな

97 :
2016/06/05(日) 16:36:17.56 ID:pksZb/E0d
さすがロシア
的確な分析だ


99 :
2016/06/05(日) 16:36:30.48 ID:RNYaCSiK0
吐き気を起こすほどの文章こんなのはじめて

100 :
2016/06/05(日) 16:36:50.42 ID:wdAnpomR0
一ミリも間違ってないな

104 :
2016/06/05(日) 16:37:09.54 ID:7U2mG6tAK
文書警告なんてよっぽどなんだろ
次は実力行使なんじゃね?


107 :
2016/06/05(日) 16:37:25.35 ID:bk2v9UGO0
わざとだとしてもだから何だとしかwww
日本に来て暗殺でもするのかよw


120 :
2016/06/05(日) 16:39:34.73 ID:nEnH12Ab0
>>107
ロンドンで暗殺された元エージェントもおったし


108 :
2016/06/05(日) 16:37:47.89 ID:XxoQc2eO0
わざとやられてるのに気づかないあたりがアホ

110 :
2016/06/05(日) 16:38:07.68 ID:4YSH4pU30
警告じゃないの?

112 :
2016/06/05(日) 16:38:24.93 ID:EBtIKE930
ロシアのこういううっかり誤配はソ連以来の伝統だから
普通に考えて脅迫だろ

産経はのんびり屋さんだな


113 :
2016/06/05(日) 16:38:24.92 ID:6Lbvpm3W0
ロシア「日本のバカウヨどもあまり調子に乗るなよ」
ってことだろ


114 :
2016/06/05(日) 16:38:44.54 ID:JJUxN+jGp
国内でも歪曲安倍ポチ新聞で有名だからなぁ
とうとう世界に知れ渡ったか


115 :
2016/06/05(日) 16:38:50.13 ID:Q0joKHUAM
報道しない自由は行使しなかったんだね、偉い偉い

116 :
2016/06/05(日) 16:38:52.76 ID:+BQ7Qd/90
これは誤送と見せかけた警告

117 :
2016/06/05(日) 16:39:13.47 ID:y5KO02Eja
ロシアから誤送じゃなくて今のお前らの扱いを教えてやったんだが?と言われたら面白いのに

123 :
2016/06/05(日) 16:40:24.43 ID:ZegpTWewa
産経よ、これこそが正論なのだ

124 :
2016/06/05(日) 16:40:27.46 ID:ewclbQbn0
わざとじゃないのか
特に知られてまずいこと書いてないし


125 :
2016/06/05(日) 16:40:28.74 ID:4+gSsziZD
これ
故意の誤爆みたいなものだろうな


128 :
2016/06/05(日) 16:40:40.66 ID:7qNxprAY0
ジャップゴミ新聞の中では産経はやはり頭一つ抜けている

129 :
2016/06/05(日) 16:40:56.29 ID:1MLj6PHC0
産経って馬鹿が頑張って書いたかのような文章多いよね

131 :
2016/06/05(日) 16:41:17.13 ID:HHdmrZAw0
クレタ人は嘘つきだのジレンマ?

132 :
2016/06/05(日) 16:41:37.16 ID:SNXLwUxr0
反応を見たくてワザとやったんだろ
産経がナメられてるだけ


133 :
2016/06/05(日) 16:41:44.29 ID:5xzlS8OR0
とある思想の人 「朝日がー毎日がー」

134 :
2016/06/05(日) 16:41:52.41 ID:td7r2DdC0
もともと産経ってのはMSNと提携してた上に
ネットに記事を無料で出すのが早かったから
一時期海外から日本の記事を探すと産経ばっかヒットする時代があった

んでその時期に海外では産経=キチガイ新聞という評判が定着したw


136 :
2016/06/05(日) 16:41:59.59 ID:JJUxN+jGp
僕たちをバカって笑ってる奴がいるっ!ってふれ回ってるところが本当に頭悪そう

144 :
2016/06/05(日) 16:42:26.74 ID:HCcqL3JM0
世界中から嫌われる産経
早く廃業しないかな


146 :
2016/06/05(日) 16:42:54.69 ID:Tekymr3G0
プーチン帝国に好かれるようじゃジャーナリスト失格だろ

147 :
2016/06/05(日) 16:43:13.84 ID:pkP1BRuf0
わざとにきまってんだろ頭悪すぎるw

149 :
2016/06/05(日) 16:43:16.55 ID:7qNxprAY0
ゴミクズには土産を持たせ優秀な人間は冷遇せよが
外交の基本、外国にイコイコされているゴミは基本的には論外なんだよ


153 :
2016/06/05(日) 16:44:14.50 ID:y5KO02Eja
産経「たるんでませんか?」
ロシア外務省(…気付けよ)


154 :
2016/06/05(日) 16:44:17.13 ID:RIaOd0+u0
産経もちゃんとチェックしてるんだな、読売朝日しか読んでないポーズ取られるよりはいいだろう

155 :
2016/06/05(日) 16:44:17.41 ID:wsXTgd5Ka
産経の記事って外国人から見たら終わってんだな

156 :
2016/06/05(日) 16:45:16.88 ID:JJTwiUAv0
他人宛の書簡を勝手に読んで記事にする行為がゲスい

157 :
2016/06/05(日) 16:45:27.96 ID:7U2mG6tAK
産経社会部はどうすんの?
普段からコケにしてる国境なき記者団や国連にチクったりするなよ


162 :
2016/06/05(日) 16:45:51.47 ID:7qNxprAY0
戦後露助の参戦と虐殺をジャップに広く知らしめ
ジャップの敵愾心をどんどん煽れないマスゴミに用はない
そんなものは家畜ジャップの読み物に過ぎない


164 :
2016/06/05(日) 16:45:55.73 ID:v989Ccxz0
たるみきって形が歪な産経に言われたかないな

166 :
2016/06/05(日) 16:46:08.46 ID:NAKSi+Gf0
えっ、わざとじゃないの?
間違えたフリして脅すっていう高度な戦法だろ


169 :
2016/06/05(日) 16:47:14.34 ID:nsC+BXXT0
ロシア「皮肉って知ってるか?」

170 :
2016/06/05(日) 16:47:18.83 ID:QOkJZWw00
皮肉にも気づけないみたいだな

171 :
2016/06/05(日) 16:47:25.14 ID:XoQ2BZJ80
産経に送って公表されても「どうせ日本からもそう思われてんだろ?」って思われるという勝算があったからこそ送ったんだろ
そのとおりだけど


172 :
2016/06/05(日) 16:47:36.09 ID:6Lbvpm3W0
やっぱり、ロシアは日本の良識派の味方なんだと思った

177 :
2016/06/05(日) 16:52:26.50 ID:7LJ/ep0A0
事実を湾曲

その通りだろ 産経新聞なんて週刊誌以下の信頼度だもの


183 :
2016/06/05(日) 16:54:17.01 ID:y5KO02Eja
>>177
そう言えば最近在特会が産経ソースを信じたお前らが悪いって裁判で言われてたな


181 :
2016/06/05(日) 16:53:56.22 ID:00cwkT4s0
なんで産経の文体って人を馬鹿にした態度なのか
他の新聞は内容がどうあれ一般的な文体だと思うが


182 :
2016/06/05(日) 16:53:56.40 ID:qnXzH+4Ya
わざとじゃねえの?ってかこんなもん送られたなんて公表すんなよwww

184 :
2016/06/05(日) 16:54:34.37 ID:efbknAzod
編集長にソ連のスパイ疑惑が有ったのって産経じゃ無かったっけ?

185 :
2016/06/05(日) 16:54:59.68 ID:ugTK7vDD0
わざとに決まってるだろw

188 :
2016/06/05(日) 16:55:41.46 ID:oJbRYpPYp
さすがロシアですわ

189 :
2016/06/05(日) 16:56:14.16 ID:EltrkhwQ0
わざとだろこれ

192 :
2016/06/05(日) 16:57:45.19 ID:01N4yY3W0
流石ロシアですわ
やることが大胆


193 :
2016/06/05(日) 16:58:19.95 ID:ETrF8Hz0M
せっかく一部の職員が気を利かせて警告を送ってくれたと言うのにまったく産経は

194 :
2016/06/05(日) 16:58:40.67 ID:wn0vR7zm0
ロシアにも知られてるのか

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コメント

名無しさん2016/06/05 (日) 21:32:48 ID:-
ロシアなんかにこう言われたってことは産経にとってはプラスじゃないか?
名無しさん2016/06/05 (日) 21:52:14 ID:-
プーチン政権から好かれるようじゃホントダメなんだよなぁ
名無しさん2016/06/05 (日) 22:47:33 ID:-
ケンモメンは産経憎しで周囲が見えてないんだろうなあ
名無しさん2016/06/05 (日) 23:19:28 ID:-
>3
地球人には思えない宇宙人フェイスギョロ目ニンニク鼻は黙っててね
名無しさん2016/06/05 (日) 23:22:37 ID:-
ケンモメン馬鹿にされるとすぐ出てくるのなこのロボットwww
名無しさん2016/06/05 (日) 23:34:28 ID:-
お前さぁ俺から逃げたチキン野郎だろwwwwwwwwwwwwwwwww
負け犬負け犬アンド負け犬
名無しさん2016/06/05 (日) 23:43:45 ID:-
プーチン信者が発狂してますね……
名無しさん2016/06/05 (日) 23:56:41 ID:-
米5に反応してるってことは「僕はコピペ荒らしです」って言ってるようなもの
よほどイラついてんだねw
名無しさん2016/06/06 (月) 02:58:53 ID:-
ロシアはこういう古典的な手を使うよな
ムネオを有能扱いしたりとかさ
これで産経もロシアで取材しようとは思わなくなるだろ
名無しさん2016/06/06 (月) 03:08:29 ID:-
間違えて産経に発送するとか有り得ない
他の住所ならともかく、ロシア政府が郵便物に産経の住所を書き込む事自体が有り得ないから、絶対に起こり得ない間違いだ
確実にわざとやってる
名無しさん2016/06/07 (火) 11:30:01 ID:-
ケンモメン今度はロシアにすり寄るんですかー?w
名無しさん2017/09/28 (木) 07:34:13 ID:-
※3
君、フジテレビと同グループの産経新聞を非難しないといけないな


ネトウヨってフジサンケイグループだって知ってか知らずかフジテレビを攻撃してるんだよ
いまだに。
名無しさん2017/09/28 (木) 07:35:55 ID:-
※3
へー。産経新聞が「取材なしで記事を書いている」という新聞社としてあるまじきことをやっているという当たり前のことを言っただけで「産経憎し」なんだ。

この程度の話で「憎し」とか、それ、完全に幻覚だね。明日になったら、メンタルクリニックに診てもらいに行けよ。

ケンモメン憎しで現実が見えなくなったんだろうなあ。お気の毒に。
伊藤豪朗2017/09/28 (木) 07:47:02 ID:-
※3
※5

お薬増やしておきますね
今度カウンセリングも受けましょうね
名無しさん2017/09/30 (土) 23:54:06 ID:-
※5
ここは嫌儲板じゃないって何度も教えてもらってるはずなのに、ケンモメンケンモメンと繰り返すロボットが何か言ってます。てめーのロボット属性を他人になすり付けてんじゃねーよ。

で? 「産経憎し」っていうのは幻覚なんだけど、いい加減理解した? 本当にさ、メンタルクリニックで診てもらえって。
名無しさん2017/10/11 (水) 17:39:59 ID:-
※8
おやおや、今度は俺たちがイラついているって幻覚? いくら幻覚で見た光景を言ったところで、幻覚は現実にならないぞ。

あとさ、てめーの幻覚を指摘したら「僕はコピペ荒らしです」って言ってるようなものって、全然話が繋がらないねー。だいたい、てめーが病院行かなきゃならないこと繰り返したら、※14とか複数人に「病院行け」と言われることが何度もあって当たり前だろうが。何がコピペだ。さっさとてめーの幻覚症状を治療してもらえよ。
廣田遼平2017/10/11 (水) 17:47:19 ID:-
紙媒体のまとめブログですから
名無しさん2017/10/13 (金) 16:47:27 ID:-
たまにマスコミ批判新聞批判するけど
どういう立場にいるつもりなんだ産経は

※3、5、8、11
まじでこいつ頭おかしいだろ 精神科ぶっ混んだらいいのに
名無しさん2017/10/24 (火) 12:21:54 ID:-
※8 
コピペ荒らしってお前のことじゃんw
自己紹介かな?w
darmSpeavavet2017/12/03 (日) 23:34:55 ID:-
ルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a hrenew era キャップ</a>イッタラ食器製品多分いくつかの時間とさらに耐性後に脚の各々は、通常、はるかに少ないです ブーツや靴の従属
 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時(かたとき)もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円(まる)くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮るやら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(ようや)く、ほっと一息つく事が出来ました。<a href

また、会社の近くにあるストリートは、創業者の名と同じ“LUIGI CIOCCA”ストリートと呼ばれ、 CIOCCA社が地域に深く根付いていることをうかがわせます。

目のあらい簾すだれが、入口にぶらさげてあるので、往来の容子ようすは仕事場にいても、よく見えた。清水きよみずへ通う往来は、さっきから、人通りが絶えない。金鼓こんくをかけた法師ほうしが通る。壺装束つぼしょうぞくをした女が通る。その後あとからは、めずらしく、黄牛あめうしに曳ひかせた網代車あじろぐるまが通った。それが皆、疎まばらな蒲がまの簾すだれの目を、右からも左からも、来たかと思うと、通りぬけてしまう。その中で変らないのは、午後の日が暖かに春を炙あぶっている、狭い往来の土の色ばかりである。
 その人の往来を、仕事場の中から、何と云う事もなく眺めていた、一人の青侍あおざむらいが、この時、ふと思いついたように、主あるじの陶器師すえものつくりへ声をかけた。
「不相変あいかわらず、観音様かんのんさまへ参詣する人が多いようだね。」
「左様でございます。」
 陶器師すえものつくりは、仕事に気をとられていたせいか、少し迷惑そうに、こう答えた。が、これは眼の小さい、鼻の上を向いた、どこかひょうきんな所のある老人で、顔つきにも容子ようすにも、悪気らしいものは、微塵みじんもない。着ているのは、麻あさの帷子かたびらであろう。それに萎なえた揉烏帽子もみえぼしをかけたのが、この頃評判の高い鳥羽僧正とばそうじょうの絵巻の中の人物を見るようである。
「私も一つ、日参にっさんでもして見ようか。こう、うだつが上らなくちゃ、やりきれない。」
「御冗談ごじようだんで。」
「なに、これで善い運が授さずかるとなれば、私だって、信心をするよ。日参をしたって、参籠さんろうをしたって、そうとすれば、安いものだからね。つまり、神仏を相手に、一商売をするようなものさ。」
 青侍は、年相応な上調子うわちょうしなもの言いをして、下唇を舐なめながら、きょろきょろ、仕事場の中を見廻した。――竹藪たけやぶを後うしろにして建てた、藁葺わらぶきのあばら家やだから、中は鼻がつかえるほど狭い。が、簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、甕かめでも瓶子へいしでも、皆赭あかちゃけた土器かわらけの肌はだをのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。どうやらこの家の棟むねばかりは、燕つばめさえも巣を食わないらしい。……
 翁おきなが返事をしないので、青侍はまた語を継ついだ。
「お爺じいさんなんぞも、この年までには、随分いろんな事を見たり聞いたりしたろうね。どうだい。観音様は、ほんとうに運を授けて下さるものかね。」
「左様でございます。昔は折々、そんな事もあったように聞いて居りますが。」
「どんな事があったね。」
「どんな事と云って、そう一口には申せませんがな。――しかし、貴方あなたがたは、そんな話をお聞きなすっても、格別面白くもございますまい。」
「可哀そうに、これでも少しは信心気しんじんぎのある男なんだぜ。いよいよ運が授かるとなれば、明日あすにも――」
「信心気でございますかな。商売気でございますかな。」
 翁おきなは、眦めじりに皺しわをよせて笑った。捏こねていた土が、壺つぼの形になったので、やっと気が楽になったと云う調子である。
「神仏の御考えなどと申すものは、貴方あなたがたくらいのお年では、中々わからないものでございますよ。」
「それはわからなかろうさ。わからないから、お爺さんに聞くんだあね。」
「いやさ、神仏が運をお授けになる、ならないと云う事じゃございません。そのお授けになる運の善し悪しと云う事が。」
「だって、授けて貰えばわかるじゃないか。善い運だとか、悪い運だとか。」
「それが、どうも貴方がたには、ちとおわかりになり兼ねましょうて。」
「私には運の善し悪しより、そう云う理窟の方がわからなそうだね。」
 日が傾き出したのであろう。さっきから見ると、往来へ落ちる物の影が、心もち長くなった。その長い影をひきながら、頭かしらに桶おけをのせた物売りの女が二人、簾の目を横に、通りすぎる。一人は手に宿への土産みやげらしい桜の枝を持っていた。
「今、西の市いちで、績麻うみその※(「廛+おおざと」、第3水準1-92-84)みせを出している女なぞもそうでございますが。」
「だから、私はさっきから、お爺さんの話を聞きたがっているじゃないか。」
 二人は、暫くの間、黙った。青侍は、爪で頤あごのひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めている。貝殻のように白く光るのは、大方おおかたさっきの桜の花がこぼれたのであろう。
「話さないかね。お爺さん。」
 やがて、眠そうな声で、青侍が云った。
「では、御免を蒙って、一つ御話し申しましょうか。また、いつもの昔話でございますが。」
 こう前置きをして、陶器師すえものつくりの翁は、徐おもむろに話し出した。日の長い短いも知らない人でなくては、話せないような、悠長な口ぶりで話し出したのである。
「もうかれこれ三四十年前になりましょう。あの女がまだ娘の時分に、この清水きよみずの観音様へ、願がんをかけた事がございました。どうぞ一生安楽に暮せますようにと申しましてな。何しろ、その時分は、あの女もたった一人のおふくろに死別しにわかれた後で、それこそ日々にちにちの暮しにも差支えるような身の上でございましたから、そう云う願がんをかけたのも、満更まんざら無理はございません。
「死んだおふくろと申すのは、もと白朱社はくしゅしゃの巫子みこで、一しきりは大そう流行はやったものでございますが、狐きつねを使うと云う噂うわさを立てられてからは、めっきり人も来なくなってしまったようでございます。これがまた、白あばたの、年に似合わず水々しい、大がらな婆さんでございましてな、何さま、あの容子ようすじゃ、狐どころか男でも……」
「おふくろの話よりは、その娘の話の方を伺いたいね。」
「いや、これは御挨拶で。――そのおふくろが死んだので、後は娘一人の痩やせ腕でございますから、いくらかせいでも、暮くらしの立てられようがございませぬ。そこで、あの容貌きりょうのよい、利発者りはつものの娘が、お籠こもりをするにも、襤褸つづれ故に、あたりへ気がひけると云う始末でございました。」
「へえ。そんなに好いい女だったかい。」
「左様でございます。気だてと云い、顔と云い、手前の欲目では、まずどこへ出しても、恥しくないと思いましたがな。」
「惜しい事に、昔さね。」
 青侍は、色のさめた藍の水干すいかんの袖口を、ちょいとひっぱりながら、こんな事を云う。翁は、笑声を鼻から抜いて、またゆっくり話しつづけた。後うしろの竹籔では、頻しきりに鶯うぐいすが啼いている。
「それが、三七日さんしちにちの間、お籠りをして、今日が満願と云う夜よに、ふと夢を見ました。何でも、同じ御堂おどうに詣まいっていた連中の中に、背むしの坊主ぼうずが一人いて、そいつが何か陀羅尼だらにのようなものを、くどくど誦ずしていたそうでございます。大方それが、気になったせいでございましょう。うとうと眠気がさして来ても、その声ばかりは、どうしても耳をはなれませぬ。とんと、縁の下で蚯蚓みみずでも鳴いているような心もちで――すると、その声が、いつの間にやら人間の語ことばになって、『ここから帰る路で、そなたに云いよる男がある。その男の云う事を聞くがよい。』と、こう聞えると申すのでございますな。
「はっと思って、眼がさめると、坊主はやっぱり陀羅尼三昧だらにざんまいでございます。が、何と云っているのだか、いくら耳を澄ましても、わかりませぬ。その時、何気なく、ひょいと向うを見ると、常夜燈じょうやとうのぼんやりした明りで、観音様の御顔が見えました。日頃拝おがみなれた、端厳微妙たんごんみみょうの御顔でございますが、それを見ると、不思議にもまた耳もとで、『その男の云う事を聞くがよい。』と、誰だか云うような気がしたそうでございます。そこで、娘はそれを観音様の御告おつげだと、一図いちずに思いこんでしまいましたげな。」
「はてね。」
「さて、夜がふけてから、御寺を出て、だらだら下りの坂路を、五条へくだろうとしますと、案の定じょう後うしろから、男が一人抱きつきました。丁度、春さきの暖い晩でございましたが、生憎あいにくの暗で、相手の男の顔も見えなければ、着ている物などは、猶なおの事わかりませぬ。ただ、ふり離そうとする拍子に、手が向うの口髭くちひげにさわりました。いやはや、とんだ時が、満願まんがんの夜に当ったものでございます。
「その上、相手は、名を訊きかれても、名を申しませぬ。所を訊かれても、所を申しませぬ。ただ、云う事を聞けと云うばかりで、坂下の路を北へ北へ、抱きすくめたまま、引きずるようにして、つれて行きます。泣こうにも、喚わめこうにも、まるで人通りのない時分なのだから、仕方がございませぬ。」
「ははあ、それから。」
「それから、とうとう八坂寺やさかでらの塔の中へ、つれこまれて、その晩はそこですごしたそうでございます。――いや、その辺へんの事なら、何も年よりの手前などが、わざわざ申し上げるまでもございますまい。」
 翁おきなは、また眦めじりに皺しわをよせて、笑った。往来の影は、いよいよ長くなったらしい。吹くともなく渡る風のせいであろう、そこここに散っている桜の花も、いつの間にかこっちへ吹きよせられて、今では、雨落ちの石の間に、点々と白い色をこぼしている。
「冗談云っちゃいけない。」
 青侍は、思い出したように、頤あごのひげを抜き抜き、こう云った。
「それで、もうおしまいかい。」
「それだけなら、何もわざわざお話し申すがものはございませぬ。」翁おきなは、やはり壺つぼをいじりながら、「夜があけると、その男が、こうなるのも大方宿世すくせの縁だろうから、とてもの事に夫婦みょうとになってくれと申したそうでございます。」
「成程。」
「夢の御告げでもないならともかく、娘は、観音様のお思召おぼしめし通りになるのだと思ったものでございますから、とうとう首かぶりを竪たてにふりました。さて形かたばかりの盃事さかずきごとをすませると、まず、当座の用にと云って、塔の奥から出して来てくれたのが綾あやを十疋ぴきに絹を十疋でございます。――この真似まねばかりは、いくら貴方あなたにもちとむずかしいかも存じませんな。」
 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮くれに帰ると云って、娘一人を留守居るすいに、慌あわただしくどこかへ出て参りました。その後あとの淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気なにげなく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚おろかな事、珠玉とか砂金さきんとか云う金目かねめの物が、皮匣かわごに幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸とむねをついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物たからを持っているからは、もう疑うたがいはございませぬ。引剥ひはぎでなければ、物盗ものとりでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時かたときもこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免ほうめんの手にでもかかろうものなら、どんな目に遭あうかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣かわごの後うしろから、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠なまこともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円まるくなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺しわだらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師あまほうしでございました。しかも娘の思惑おもわくを知ってか知らないでか、膝ひざで前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声ねこなでごえで、初対面の挨拶あいさつをするのでございます。
「こっちは、それ所の騒さわぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧たくみをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣かわごの上に肘ひじをつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子ようすでは、この婆さんが、今まであの男の炊女みずしか何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼あまがまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午ひるまでつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請はしぶしんが出来たのと云っている中うちに、幸い、年の加減かげんか、この婆さんが、そろそろ居睡いねむりをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺うかがいながら、そっと入口まで這はって行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝けさ貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣かわごの所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝ひざにさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語ことばが耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴ける。砂金の袋をなげつける。――梁はりに巣を食った鼠ねずみも、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦ばかには出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇こわきにかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼あまはもう、口もきかないようになって居りました。これは、後あとで聞いたのでございますが、死骸しがいは、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向あおむけになって、臥ねていたそうでございます。
「こっちは八坂寺やさかでらを出ると、町家ちょうかの多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極きょうごく辺の知人しりびとの家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥かゆを煮るやら、いろいろ経営けいえいしてくれたそうでございます。そこで、娘も漸ようやく、ほっと一息つく事が出来ました。」
「私も、やっと安心したよ。」
 青侍あおざむらいは、帯にはさんでいた扇おおぎをぬいて、簾すだれの外の夕日を眺めながら、それを器用に、ぱちつかせた。その夕日の中を、今しがた白丁はくちょうが五六人、騒々しく笑い興じながら、通りすぎたが、影はまだ往来に残っている。……
「じゃそれでいよいよけりがついたと云う訳だね。」
「所が」翁おきなは大仰おおぎょうに首を振って、「その知人しりびとの家に居りますと、急に往来の人通りがはげしくなって、あれを見い、あれを見いと、罵ののしり合う声が聞えます。何しろ、後暗うしろぐらい体ですから、娘はまた、胸を痛めました。あの物盗ものとりが仕返ししにでも来たものか、さもなければ、検非違使けびいしの追手おってがかかりでもしたものか、――そう思うともう、おちおち、粥かゆを啜すすっても居られませぬ。」
「成程。」
「そこで、戸の隙間すきまから、そっと外を覗いて見ると、見物の男女なんにょの中を、放免ほうめんが五六人、それに看督長かどのおさが一人ついて、物々しげに通りました。それからその連中にかこまれて、縄にかかった男が一人、所々裂さけた水干を着て烏帽子えぼしもかぶらず、曳かれて参ります。どうも物盗りを捕えて、これからその住家すみかへ、実録じつろくをしに行く所らしいのでございますな。
「しかも、その物盗りと云うのが、昨夜ゆうべ、五条の坂で云いよった、あの男だそうじゃございませぬか。娘はそれを見ると、何故か、涙がこみ上げて来たそうでございます。これは、当人が、手前に話しました――何も、その男に惚ほれていたの、どうしたのと云う訳じゃない。が、その縄目なわめをうけた姿を見たら、急に自分で、自分がいじらしくなって、思わず泣いてしまったと、まあこう云うのでございますがな。まことにその話を聞いた時には、手前もつくづくそう思いましたよ――」
「何とね。」
「観音様へ願がんをかけるのも考え物だとな。」
「だが、お爺じいさん。その女は、それから、どうにかやって行けるようになったのだろう。」
「どうにか所か、今では何不自由ない身の上になって居ります。その綾や絹を売ったのを本もとに致しましてな。観音様も、これだけは、御約束をおちがえになりません。」
「それなら、そのくらいな目に遇っても、結構じゃないか。」
 外の日の光は、いつの間にか、黄いろく夕づいた。その中を、風だった竹籔の音が、かすかながらそこここから聞えて来る。往来の人通りも、暫くはとだえたらしい。
「人を殺したって、物盗りの女房になったって、する気でしたんでなければ仕方

ルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a hrenew era キャップ</a>イッタラ食器製品多分いくつかの時間とさらに耐性後に脚の各々は、通常、はるかに少ないです ブーツや靴の従属
 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時(かたとき)もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円(まる)くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
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「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮るやら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(ようや)く、ほっと一息つく事が出来ました。<a href

また、会社の近くにあるストリートは、創業者の名と同じ“LUIGI CIOCCA”ストリートと呼ばれ、 CIOCCA社が地域に深く根付いていることをうかがわせます。

目のあらい簾すだれが、入口にぶらさげてあるので、往来の容子ようすは仕事場にいても、よく見えた。清水きよみずへ通う往来は、さっきから、人通りが絶えない。金鼓こんくをかけた法師ほうしが通る。壺装束つぼしょうぞくをした女が通る。その後あとからは、めずらしく、黄牛あめうしに曳ひかせた網代車あじろぐるまが通った。それが皆、疎まばらな蒲がまの簾すだれの目を、右からも左からも、来たかと思うと、通りぬけてしまう。その中で変らないのは、午後の日が暖かに春を炙あぶっている、狭い往来の土の色ばかりである。
 その人の往来を、仕事場の中から、何と云う事もなく眺めていた、一人の青侍あおざむらいが、この時、ふと思いついたように、主あるじの陶器師すえものつくりへ声をかけた。
「不相変あいかわらず、観音様かんのんさまへ参詣する人が多いようだね。」
「左様でございます。」
 陶器師すえものつくりは、仕事に気をとられていたせいか、少し迷惑そうに、こう答えた。が、これは眼の小さい、鼻の上を向いた、どこかひょうきんな所のある老人で、顔つきにも容子ようすにも、悪気らしいものは、微塵みじんもない。着ているのは、麻あさの帷子かたびらであろう。それに萎なえた揉烏帽子もみえぼしをかけたのが、この頃評判の高い鳥羽僧正とばそうじょうの絵巻の中の人物を見るようである。
「私も一つ、日参にっさんでもして見ようか。こう、うだつが上らなくちゃ、やりきれない。」
「御冗談ごじようだんで。」
「なに、これで善い運が授さずかるとなれば、私だって、信心をするよ。日参をしたって、参籠さんろうをしたって、そうとすれば、安いものだからね。つまり、神仏を相手に、一商売をするようなものさ。」
 青侍は、年相応な上調子うわちょうしなもの言いをして、下唇を舐なめながら、きょろきょろ、仕事場の中を見廻した。――竹藪たけやぶを後うしろにして建てた、藁葺わらぶきのあばら家やだから、中は鼻がつかえるほど狭い。が、簾の外の往来が、目まぐるしく動くのに引換えて、ここでは、甕かめでも瓶子へいしでも、皆赭あかちゃけた土器かわらけの肌はだをのどかな春風に吹かせながら、百年も昔からそうしていたように、ひっそりかんと静まっている。どうやらこの家の棟むねばかりは、燕つばめさえも巣を食わないらしい。……
 翁おきなが返事をしないので、青侍はまた語を継ついだ。
「お爺じいさんなんぞも、この年までには、随分いろんな事を見たり聞いたりしたろうね。どうだい。観音様は、ほんとうに運を授けて下さるものかね。」
「左様でございます。昔は折々、そんな事もあったように聞いて居りますが。」
「どんな事があったね。」
「どんな事と云って、そう一口には申せませんがな。――しかし、貴方あなたがたは、そんな話をお聞きなすっても、格別面白くもございますまい。」
「可哀そうに、これでも少しは信心気しんじんぎのある男なんだぜ。いよいよ運が授かるとなれば、明日あすにも――」
「信心気でございますかな。商売気でございますかな。」
 翁おきなは、眦めじりに皺しわをよせて笑った。捏こねていた土が、壺つぼの形になったので、やっと気が楽になったと云う調子である。
「神仏の御考えなどと申すものは、貴方あなたがたくらいのお年では、中々わからないものでございますよ。」
「それはわからなかろうさ。わからないから、お爺さんに聞くんだあね。」
「いやさ、神仏が運をお授けになる、ならないと云う事じゃございません。そのお授けになる運の善し悪しと云う事が。」
「だって、授けて貰えばわかるじゃないか。善い運だとか、悪い運だとか。」
「それが、どうも貴方がたには、ちとおわかりになり兼ねましょうて。」
「私には運の善し悪しより、そう云う理窟の方がわからなそうだね。」
 日が傾き出したのであろう。さっきから見ると、往来へ落ちる物の影が、心もち長くなった。その長い影をひきながら、頭かしらに桶おけをのせた物売りの女が二人、簾の目を横に、通りすぎる。一人は手に宿への土産みやげらしい桜の枝を持っていた。
「今、西の市いちで、績麻うみその※(「廛+おおざと」、第3水準1-92-84)みせを出している女なぞもそうでございますが。」
「だから、私はさっきから、お爺さんの話を聞きたがっているじゃないか。」
 二人は、暫くの間、黙った。青侍は、爪で頤あごのひげを抜きながら、ぼんやり往来を眺めている。貝殻のように白く光るのは、大方おおかたさっきの桜の花がこぼれたのであろう。
「話さないかね。お爺さん。」
 やがて、眠そうな声で、青侍が云った。
「では、御免を蒙って、一つ御話し申しましょうか。また、いつもの昔話でございますが。」
 こう前置きをして、陶器師すえものつくりの翁は、徐おもむろに話し出した。日の長い短いも知らない人でなくては、話せないような、悠長な口ぶりで話し出したのである。
「もうかれこれ三四十年前になりましょう。あの女がまだ娘の時分に、この清水きよみずの観音様へ、願がんをかけた事がございました。どうぞ一生安楽に暮せますようにと申しましてな。何しろ、その時分は、あの女もたった一人のおふくろに死別しにわかれた後で、それこそ日々にちにちの暮しにも差支えるような身の上でございましたから、そう云う願がんをかけたのも、満更まんざら無理はございません。
「死んだおふくろと申すのは、もと白朱社はくしゅしゃの巫子みこで、一しきりは大そう流行はやったものでございますが、狐きつねを使うと云う噂うわさを立てられてからは、めっきり人も来なくなってしまったようでございます。これがまた、白あばたの、年に似合わず水々しい、大がらな婆さんでございましてな、何さま、あの容子ようすじゃ、狐どころか男でも……」
「おふくろの話よりは、その娘の話の方を伺いたいね。」
「いや、これは御挨拶で。――そのおふくろが死んだので、後は娘一人の痩やせ腕でございますから、いくらかせいでも、暮くらしの立てられようがございませぬ。そこで、あの容貌きりょうのよい、利発者りはつものの娘が、お籠こもりをするにも、襤褸つづれ故に、あたりへ気がひけると云う始末でございました。」
「へえ。そんなに好いい女だったかい。」
「左様でございます。気だてと云い、顔と云い、手前の欲目では、まずどこへ出しても、恥しくないと思いましたがな。」
「惜しい事に、昔さね。」
 青侍は、色のさめた藍の水干すいかんの袖口を、ちょいとひっぱりながら、こんな事を云う。翁は、笑声を鼻から抜いて、またゆっくり話しつづけた。後うしろの竹籔では、頻しきりに鶯うぐいすが啼いている。
「それが、三七日さんしちにちの間、お籠りをして、今日が満願と云う夜よに、ふと夢を見ました。何でも、同じ御堂おどうに詣まいっていた連中の中に、背むしの坊主ぼうずが一人いて、そいつが何か陀羅尼だらにのようなものを、くどくど誦ずしていたそうでございます。大方それが、気になったせいでございましょう。うとうと眠気がさして来ても、その声ばかりは、どうしても耳をはなれませぬ。とんと、縁の下で蚯蚓みみずでも鳴いているような心もちで――すると、その声が、いつの間にやら人間の語ことばになって、『ここから帰る路で、そなたに云いよる男がある。その男の云う事を聞くがよい。』と、こう聞えると申すのでございますな。
「はっと思って、眼がさめると、坊主はやっぱり陀羅尼三昧だらにざんまいでございます。が、何と云っているのだか、いくら耳を澄ましても、わかりませぬ。その時、何気なく、ひょいと向うを見ると、常夜燈じょうやとうのぼんやりした明りで、観音様の御顔が見えました。日頃拝おがみなれた、端厳微妙たんごんみみょうの御顔でございますが、それを見ると、不思議にもまた耳もとで、『その男の云う事を聞くがよい。』と、誰だか云うような気がしたそうでございます。そこで、娘はそれを観音様の御告おつげだと、一図いちずに思いこんでしまいましたげな。」
「はてね。」
「さて、夜がふけてから、御寺を出て、だらだら下りの坂路を、五条へくだろうとしますと、案の定じょう後うしろから、男が一人抱きつきました。丁度、春さきの暖い晩でございましたが、生憎あいにくの暗で、相手の男の顔も見えなければ、着ている物などは、猶なおの事わかりませぬ。ただ、ふり離そうとする拍子に、手が向うの口髭くちひげにさわりました。いやはや、とんだ時が、満願まんがんの夜に当ったものでございます。
「その上、相手は、名を訊きかれても、名を申しませぬ。所を訊かれても、所を申しませぬ。ただ、云う事を聞けと云うばかりで、坂下の路を北へ北へ、抱きすくめたまま、引きずるようにして、つれて行きます。泣こうにも、喚わめこうにも、まるで人通りのない時分なのだから、仕方がございませぬ。」
「ははあ、それから。」
「それから、とうとう八坂寺やさかでらの塔の中へ、つれこまれて、その晩はそこですごしたそうでございます。――いや、その辺へんの事なら、何も年よりの手前などが、わざわざ申し上げるまでもございますまい。」
 翁おきなは、また眦めじりに皺しわをよせて、笑った。往来の影は、いよいよ長くなったらしい。吹くともなく渡る風のせいであろう、そこここに散っている桜の花も、いつの間にかこっちへ吹きよせられて、今では、雨落ちの石の間に、点々と白い色をこぼしている。
「冗談云っちゃいけない。」
 青侍は、思い出したように、頤あごのひげを抜き抜き、こう云った。
「それで、もうおしまいかい。」
「それだけなら、何もわざわざお話し申すがものはございませぬ。」翁おきなは、やはり壺つぼをいじりながら、「夜があけると、その男が、こうなるのも大方宿世すくせの縁だろうから、とてもの事に夫婦みょうとになってくれと申したそうでございます。」
「成程。」
「夢の御告げでもないならともかく、娘は、観音様のお思召おぼしめし通りになるのだと思ったものでございますから、とうとう首かぶりを竪たてにふりました。さて形かたばかりの盃事さかずきごとをすませると、まず、当座の用にと云って、塔の奥から出して来てくれたのが綾あやを十疋ぴきに絹を十疋でございます。――この真似まねばかりは、いくら貴方あなたにもちとむずかしいかも存じませんな。」
 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮くれに帰ると云って、娘一人を留守居るすいに、慌あわただしくどこかへ出て参りました。その後あとの淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気なにげなく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚おろかな事、珠玉とか砂金さきんとか云う金目かねめの物が、皮匣かわごに幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸とむねをついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物たからを持っているからは、もう疑うたがいはございませぬ。引剥ひはぎでなければ、物盗ものとりでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時かたときもこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免ほうめんの手にでもかかろうものなら、どんな目に遭あうかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣かわごの後うしろから、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠なまこともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円まるくなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺しわだらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師あまほうしでございました。しかも娘の思惑おもわくを知ってか知らないでか、膝ひざで前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声ねこなでごえで、初対面の挨拶あいさつをするのでございます。
「こっちは、それ所の騒さわぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧たくみをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣かわごの上に肘ひじをつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子ようすでは、この婆さんが、今まであの男の炊女みずしか何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼あまがまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午ひるまでつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請はしぶしんが出来たのと云っている中うちに、幸い、年の加減かげんか、この婆さんが、そろそろ居睡いねむりをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺うかがいながら、そっと入口まで這はって行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝けさ貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣かわごの所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝ひざにさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語ことばが耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴ける。砂金の袋をなげつける。――梁はりに巣を食った鼠ねずみも、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦ばかには出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇こわきにかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼あまはもう、口もきかないようになって居りました。これは、後あとで聞いたのでございますが、死骸しがいは、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向あおむけになって、臥ねていたそうでございます。
「こっちは八坂寺やさかでらを出ると、町家ちょうかの多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極きょうごく辺の知人しりびとの家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥かゆを煮るやら、いろいろ経営けいえいしてくれたそうでございます。そこで、娘も漸ようやく、ほっと一息つく事が出来ました。」
「私も、やっと安心したよ。」
 青侍あおざむらいは、帯にはさんでいた扇おおぎをぬいて、簾すだれの外の夕日を眺めながら、それを器用に、ぱちつかせた。その夕日の中を、今しがた白丁はくちょうが五六人、騒々しく笑い興じながら、通りすぎたが、影はまだ往来に残っている。……
「じゃそれでいよいよけりがついたと云う訳だね。」
「所が」翁おきなは大仰おおぎょうに首を振って、「その知人しりびとの家に居りますと、急に往来の人通りがはげしくなって、あれを見い、あれを見いと、罵ののしり合う声が聞えます。何しろ、後暗うしろぐらい体ですから、娘はまた、胸を痛めました。あの物盗ものとりが仕返ししにでも来たものか、さもなければ、検非違使けびいしの追手おってがかかりでもしたものか、――そう思うともう、おちおち、粥かゆを啜すすっても居られませぬ。」
「成程。」
「そこで、戸の隙間すきまから、そっと外を覗いて見ると、見物の男女なんにょの中を、放免ほうめんが五六人、それに看督長かどのおさが一人ついて、物々しげに通りました。それからその連中にかこまれて、縄にかかった男が一人、所々裂さけた水干を着て烏帽子えぼしもかぶらず、曳かれて参ります。どうも物盗りを捕えて、これからその住家すみかへ、実録じつろくをしに行く所らしいのでございますな。
「しかも、その物盗りと云うのが、昨夜ゆうべ、五条の坂で云いよった、あの男だそうじゃございませぬか。娘はそれを見ると、何故か、涙がこみ上げて来たそうでございます。これは、当人が、手前に話しました――何も、その男に惚ほれていたの、どうしたのと云う訳じゃない。が、その縄目なわめをうけた姿を見たら、急に自分で、自分がいじらしくなって、思わず泣いてしまったと、まあこう云うのでございますがな。まことにその話を聞いた時には、手前もつくづくそう思いましたよ――」
「何とね。」
「観音様へ願がんをかけるのも考え物だとな。」
「だが、お爺じいさん。その女は、それから、どうにかやって行けるようになったのだろう。」
「どうにか所か、今では何不自由ない身の上になって居ります。その綾や絹を売ったのを本もとに致しましてな。観音様も、これだけは、御約束をおちがえになりません。」
「それなら、そのくらいな目に遇っても、結構じゃないか。」
 外の日の光は、いつの間にか、黄いろく夕づいた。その中を、風だった竹籔の音が、かすかながらそこここから聞えて来る。往来の人通りも、暫くはとだえたらしい。
「人を殺したって、物盗りの女房になったって、する気でしたんでなければ仕方

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 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時(かたとき)もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円(まる)くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。
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 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は
、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)
に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後
(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでご
ざいましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)
の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると
云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をつい
たそうでございます。
「物にもよりま
すが、こん財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい
)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、に、怖いのも手伝って何だか片
時(かたとき)もこうしては、気になりました。何さ、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろう
のなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)、砂金の袋ルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a hrenew era キャップ</a>イッタラ食器製品多分いくつかの時間とさらに耐性後に脚の各々は、通常、はるかに少ないです ブーツや靴の従属
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「やがて、男は、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時(かたとき)もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円(まる)くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わ手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼
、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、
急に
気ちがい
のようになって、
娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(
ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられ
たら、自分がどんな
ひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧
乏人なのでござい
ますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 70ルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a
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 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は
、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)
に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後
(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでご
ざいましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)
の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると
云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をつい
たそうでございます。
「物にもよりま
すが、こん財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい
)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、に、怖いのも手伝って何だか片
時(かたとき)もこうしては、気になりました。何さ、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろう
のなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)、砂金の袋ルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a hrenew era キャップ</a>イッタラ食器製品多分いくつかの時間とさらに耐性後に脚の各々は、通常、はるかに少ないです ブーツや靴の従属
 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時(かたとき)もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円(まる)くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わ手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼
、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、
急に
気ちがい
のようになって、
娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(
ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられ
たら、自分がどんな
ひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧
乏人なのでござい
ますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮る
やら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(よう
や)く、ほっと一息つく事が出来ました。<a href ttp://www.ring-store.jp
/smp.htmlを積んだ中に、円(まくなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だら
けの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮るやら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(ようや)く、ほっと一息つく事が出来ました。<a href ttp://www.ring-store.jp/smp.html89 4066を煮る
やら、いろルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a
hrenew era キャップ</a>イッタラ食器製品多分いくつ
かの時間とさらに耐性後に脚の各々は、通常、はるか
に少ないです ブーツや靴の従属

 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は
、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)
に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後
(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでご
ざいましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)
の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると
云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をつい
たそうでございます。
「物にもよりま
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時(かたとき)もこうしては、気になりました。何さ、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろう
のなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)、砂金の袋ルイージCiocca:私は私がミラノ古書の新しいグループに存在細工されたことに気づいた<a hrenew era キャップ</a>イッタラ食器製品多分いくつかの時間とさらに耐性後に脚の各々は、通常、はるかに少ないです ブーツや靴の従属
 青侍は、にやにや笑うばかりで、返事をしない。鶯も、もう啼かなくなった。
「やがて、男は、日の暮(くれ)に帰ると云って、娘一人を留守居(るすい)に、慌(あわただ)しくどこかへ出て参りました。その後(あと)の淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなるのでございましょう。そこで、心晴らしに、何気(なにげ)なく塔の奥へ行って見ると、どうでございましょう。綾や絹は愚(おろか)な事、珠玉とか砂金(さきん)とか云う金目(かねめ)の物が、皮匣(かわご)に幾つともなく、並べてあると云うじゃございませぬか。これにはああ云う気丈な娘でも、思わず肚胸(とむね)をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな財物(たから)を持っているからは、もう疑(うたがい)はございませぬ。引剥(ひはぎ)でなければ、物盗(ものと)りでございます。――そう思うと、今まではただ、さびしいだけだったのが、急に、怖いのも手伝って、何だか片時(かたとき)もこうしては、いられないような気になりました。何さま、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろうものなら、どんな目に遭(あ)うかも知れませぬ。
「そこで、逃げ場をさがす気で、急いで戸口の方へ引返そうと致しますと、誰だか、皮匣(かわご)の後(うしろ)から、しわがれた声で呼びとめました。何しろ、人はいないとばかり思っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも海鼠(なまこ)ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円(まる)くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だらけの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わ手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼
、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、
急に
気ちがい
のようになって、
娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(
ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられ
たら、自分がどんな
ひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧
乏人なのでござい
ますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮る
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「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
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「やがて、男は
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時(かたとき)もこうしては、気になりました。何さ、悪く放免(ほうめん)の手にでもかかろう
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「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧
乏人なのでござい
ますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮る
やら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(よう
や)く、ほっと一息つく事が出来ました。<a href ttp://www.ring-store.jp
/smp.htmlを積んだ中に、円(まくなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺(しわ)だら
けの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮るやら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(よう
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けの、腰のまがった、背の低い、六十ばかりの尼法師(あまほうし)でございました。しかも娘の思惑(おもわく)を知ってか知らないでか、膝(ひざ)で前へのり出しながら、見かけによらない猫撫声(ねこなでごえ)で、初対面の挨拶(あいさつ)をするのでございます。
「こっちは、それ所の騒(さわ)ぎではないのでございますが、何しろ逃げようと云う巧(たく)みをけどられなどしては大変だと思ったので、しぶしぶ皮匣(かわご)の上に肘(ひじ)をつきながら心にもない世間話をはじめました。どうも話の容子(ようす)では、この婆さんが、今まであの男の炊女(みずし)か何かつとめていたらしいのでございます。が、男の商売の事になると、妙に一口も話しませぬ。それさえ、娘の方では、気になるのに、その尼(あま)がまた、少し耳が遠いと来ているものでございますから、一つ話を何度となく、云い直したり聞き直したりするので、こっちはもう泣き出したいほど、気がじれます。――
「そんな事が、かれこれ午(ひる)までつづいたでございましょう。すると、やれ清水の桜が咲いたの、やれ五条の橋普請(はしぶしん)が出来たのと云っている中(うち)に、幸い、年の加減(かげん)か、この婆さんが、そろそろ居睡(いねむ)りをはじめました。一つは娘の返答が、はかばかしくなかったせいもあるのでございましょう。そこで、娘は、折を計って、相手の寝息を窺(うかが)いながら、そっと入口まで這(は)って行って、戸を細目にあけて見ました。外にも、いい案配に、人のけはいはございませぬ。――
「ここでそのまま、逃げ出してしまえば、何事もなかったのでございますが、ふと今朝(けさ)貰った綾と絹との事を思い出したので、それを取りに、またそっと皮匣(かわご)の所まで帰って参りました。すると、どうした拍子か、砂金の袋にけつまずいて、思わず手が婆さんの膝(ひざ)にさわったから、たまりませぬ。尼の奴め驚いて眼をさますと、暫くはただ、あっけにとられて、いたようでございますが、急に気ちがいのようになって、娘の足にかじりつきました。そうして、半分泣き声で、早口に何かしゃべり立てます。切れ切れに、語(ことば)が耳へはいる所では、万一娘に逃げられたら、自分がどんなひどい目に遇うかも知れないと、こう云っているらしいのでございますな。が、こっちもここにいては命にかかわると云う時でございますから、元よりそんな事に耳をかす訳がございませぬ。そこで、とうとう、女同志のつかみ合がはじまりました。
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)675 7089 4066を煮るやら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(ようや)く、ほっと一息つく事が出来ました。<a href ttp://www.ring-store.jp/smp.html
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