「治療施設に来院する患者は氷山の一角」。国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が西アフリカ・シエラレオネで行う緊急援助活動に従事した看護師の吉田照美さん(43)=埼玉県出身=は、このほど時事通信のインタビューに応じ、エボラ熱感染者が急増する現状を語った。
吉田さんは6月中旬から約1カ月間、約40人が入院するエボラ熱専門の治療施設で活動した。感染が疑われる患者は隔離された「要注意区域」で治療を受け、出入りするスタッフには重厚な防護服の着用が義務付けられる。煩雑な感染予防作業に膨大な時間が奪われる中、人員不足を身をもって感じたという。
「地域住民の誤解を解くのが難しかった」と吉田さん。これまでに経験したことのない感染症の大発生で、エボラ熱を「呪いの類だと考える人もいた」。混乱した一部の住民の間では「MSFがエボラ熱を拡散させている」「患者の臓器を取り出して売るつもりだ」などと、根も葉もないうわさが広まった。石を投げられ、MSFの救急車の窓ガラスが割られる事件も起きた。
葬式の際に遺体を洗浄する地元の風習も、患者の血液や唾液、汗などを介して感染するエボラ熱の感染拡大の大きな要因となった。
住民同士のつながりが強い地域では感染を隠す傾向が強く、「施設に来る人は氷山の一角」とみている。
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