「助けて」と言えずに孤独死する、“就職氷河期世代”の存在が、以前、問題視されたことがある。
そんな彼らも、40代。
正社員化や、賃金アップなど、“非正規社員に光”があたり始めたような報道が、最近、増えつつあるが、ミドルの非正規社員を取り巻く環境の厳しさは、あまり知られていない。
なぜ、壮年男性のほうが、若手よりも貧困なのか?
その理由は、「誰が家計を支えているのか?」にある。
若年層の7割が、「親」が家計維持者であるのに対し、壮年層では58.2%が「自分」。親のすねをかじれる若手と、一家の主として支えなければならない40歳前後とでは、生活に苦しさが異なる。
以前、フィールインタビューに協力してくれた、非正規で働く40代の男性が、次のようにこぼしたことがあった。
「今はまだ、母の面倒を見なきゃならないんで、なんとかなってますけど。自分1人になったら……ヤバいなぁって思うんです。生きてる意味あるのかなぁ?って」氷河期世代のこの男性は、二度のリストラを経験し、現在は、製造業関連会社の非正規社員だ。
「やっぱり正社員になりたいですよ。でも、『あきらめるしかない』かなって。
うん、あきらめるしかないなと思っています。40過ぎを正社員で雇ってくれる会社は、ありません。連敗が続くと、まるで底なし沼にいるようで。あがけばあがくほど、沈んでいく。そういう自分しかイメージできなくなってくるんです」「すると、だんだんと人と関わりたくなくなるんです。同級生にも会いたくないし、昔の会社の同僚とも連絡はとらない。
人と会えば会うだけ、他人が妬ましくなる。だから会わない。今は、母の面倒を見なければならないんで、なんとかなってますけど、1人になったらヤバいです。さびしいとか、そういうんじゃなくて。孤独感というより、疎外感に近いかな。すみません。暗い話で。ネガティブ過ぎて自分が怖いです」「ホントにがんばっているのか?」とか、「もっとできることからやってみなよ!」と彼等を責める前に、「自分1人になったら……やばいなぁって思うんです」――。
そう語る男性のような人がいるということも、どうか忘れないでいてほしいです。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kawaikaoru/20140522-00035507/