安倍晋三首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は先週、米国の仲介によりオランダのハーグで3者会談に臨んだ。
これが驚きをもたらしたこと自体が衝撃だ。共に就任から1年以上たった日本の首相と隣国韓国の大統領が、なぜ一度も会談したことがなかったのか。歴史認識や未解決の領土問題で北東アジアの雰囲気が険悪になっているため、同地域での米国の最重要同盟国である日本と韓国の首脳はほとんど話もしない。
日米韓3カ国首脳会談が実現。左から韓国の朴槿恵大統領、オバマ米大統領、安倍首相(25日、ハーグ)=共同会談の様子は多くを物語っていた。オバマ米大統領はいがみ合うのを抑え込むように両者の間に身を置いた。懸案については議論されず、3カ国の首脳は結束しやすい北朝鮮の核問題に関する協議に終始した。これで会談は象徴的な意味だけでなく、多少は中身を伴うものになった。
なぜこうした事態に陥ったのか。アジアの最も重要な経済大国である日韓の関係がこれほど悪化したのは、残念としか言いようがない。
自由な報道機関と独立した機関によるチェック・アンド・バランスが働いているはずの民主主義国同士でさえ反目し合うのなら、共産党がナショナリズムと反日感情の炎が燃え続けることを望む中国と日本の関係に何を期待できるだろうか。
ソース 日本経済新聞(2014年3月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3100V_R30C14A3000000/