乗用車が歩道の人だかりに突っ込むと、衝撃音と共に悲鳴が上がった--。
多くの買い物客らでにぎわう休日の名古屋駅近くの笹島交差点で白昼に発生した暴走車両による無差別の殺人未遂事件。
大野木(おおのぎ)亮太容疑者(30)が現行犯逮捕されたが、一瞬のうちに13人がはねられて重軽傷を負った現場に居合わせた人々は恐怖におびえ、容疑者への怒りをあらわにした。
「スピードを緩めたりハンドルを切ったりする様子もなく、本当に怖かった」。
1人で買い物に来ていた愛知県みよし市の会社員、不破健太さん(24)は、乗用車が歩行者に突っ込んでくる瞬間を目撃した。車は歩道に進入して約30メートル突っ走る間に、信号待ちしていた人々を次々とはね、不破さんの脚をかすめて街路樹に正面衝突して停止したという。
「キャー」「ワー」。叫び声を上げながら人々は走って逃げたが、歩道には血を流して倒れた人や、ハンカチを顔に当てて座り込む人も。
車にはねられ腰を打ったという愛知県小牧市の会社員、洞寿志さん(24)は「信号待ちで横を向いていたら車の音がして振り向いたら突っ込んできた」と、ぼうぜんとした様子で話した。
暴走車は街路樹にぶつかって止まっていた。すぐに周りにいた数人が窓をたたき、運転していた大野木容疑者に降りるよう促したが、顔から血を流し、うつむいたまま動かなかったという。
大野木容疑者に呼びかけた大阪府の男性会社員(24)は「私たちに気づいていたが出てくる様子がなく、警察官2人に引きずり出されるようにして車から降りていった。周りから、怒号のような声も飛んでいた」と話した。
◇民生委員に自ら相談
愛知県警によると、大野木亮太容疑者は名古屋市西区の一戸建て住宅で1人暮らしをしていた。
近所の住民によると、もともとは両親や祖母、弟の5人で暮らしていたが、最近になって大野木容疑者を残し、他の家族は引っ越したという。
別の女性によると、大野木容疑者は「けがで何事にも集中できなくなった。仕事もできず、家に引きこもっている」と話したという。
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