海自、いじめ自殺告発者の懲戒検討 文書持ち出し問題視 2013年12月8日05時44分 【高野遼】海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺に絡み、「いじめを示す調査文書が隠されている」と内部告発した3等海佐(46)に対し、海自が懲戒処分の手続きを始めた。
遺族らに「捨てた」としていた海自は告発後、原本が見つかったと謝罪していた。
特定秘密保護法で行政機関の情報隠しが懸念される中、秘密でもない文書への内部告発まで萎縮させる隠蔽(いんぺい)体質が、改めて浮かび上がった。
3佐は2008年の告発時、調査の関連文書のコピーを証拠として自宅に保管していた。
海自はこれを規律違反だと主張。
3佐は「正当な目的であり、違反にあたらない」と争う構えだ。
内閣府の審査会は今年10月、「不都合な事実を隠蔽しようとする傾向がある」と海自の姿勢を厳しく批判。
海自の現役事務官も、遺族が国を相手に起こした損害賠償請求訴訟で「上司から文書を『捨てろ』と命じられた」とする陳述書を提出している。
海自は乗組員が04年に自殺した直後、「たちかぜ」の乗組員190人にいじめの有無を尋ねたアンケートを実施。
しかし遺族が05年に情報公開請求すると、原本は破棄したと答えた。
3佐は当時、遺族の訴訟を担当。職場に原本があると知り、08年に防衛省の公益通報窓口に告発したが、海自は認めなかった。
このため12年4月、「海自は文書を隠している」とする陳述書を東京高裁に提出。
海自が再調査し、破棄は撤回された。
海上幕僚監部広報室は朝日新聞の取材に対し、「個人のプライバシーを侵害する恐れがあるため回答を控える」としている。
http://www.asahi.com/articles/TKY201312070406.html