「共謀罪」衆院通過 安倍首相に“忖度”した民進党の大罪
内心を処罰する希代の悪法「共謀罪法案」は、23日の衆院本会議で可決され、参院へ送られた。
国会の外では市民らの抗議の声が響いていたが、国会の中は大荒れとは程遠く、“与党ペース”のあっさりしたものだった。
野党第1党の民進党が、口では「廃案」と叫ぶものの、本気で阻止する気がないからだ。
民進、共産、自由、社民の野党4党は、法案の委員会差し戻しを求め、23日の本会議開催に抵抗した。
しかし、議運委員長(自民)は職権で採決を決定。これに反発し、自由と社民は本会議を冒頭から欠席した。
ところが民進は、共産とともに出席。記名投票で反対票を投じたものの、与党の“強行”という印象が薄まった。
午後1時予定だった開会も午後3時と、わずか2時間ずれこんだだけ。1時間20分ほどで可決され、午後4時半前には閉会。与党は高笑いだ。
■“安倍派”パーティーに忖度
民進党執行部のこの判断に、中堅議員は怒り心頭だ。
「安保法の時は採決を退席したのに、なぜ今回は退席しなかったのか。与党に『野党第1党が出席した中での採決だから、強行採決ではない』と言わせる材料を自ら提供してしまいました。
執行部の中には、『安倍首相の出身派閥である清和会のパーティーが午後6時からあるので、本会議はそれまでに終わらせないと』なんて言ってる人がいたそうです。
これじゃあ民進党は与党の補完勢力ですよ。採決の際、法務委員会メンバーの5人が『反対』と叫んで投票していたのが哀れでした」
民進党執行部の“忖度”の結果、“安倍派”のパーティーは定刻通り始まり、超満員で盛大に行われた。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「共謀罪法案を一般の法案と同様に扱う民進党のレベルの低さに呆れました。『記名採決で誰が賛成したかを歴史に残す』などと言いますが、お笑いです。
本会議でなすすべなし、と言っているようなもの。どうして審議拒否しないのか。野党第1党としての気概も覚悟も根性もない。野党第1党を返上した方がいい」
共謀罪法案については、全国50以上の自治体で「反対」「慎重」の意見書が採択され、世論調査でも6割以上が「今国会で成立させる必要はない」と答えている。
審議拒否しても、国民の多くが支持するだろう。戦う覚悟が見えないから、民進党の支持率が上がらないのだ。