「日本のレストランで、お酒を飲みながらたばこがのんびり吸えるなんて、夢にも思わなかった。英国じゃ、パブでたばこを吸いたくなったら建物から出なければならないからね……」初めての訪日から戻った英国人貿易商のポールさんがうれしそうに日本での喫煙体験を語ってくれた。
日本のファミリーレストランや喫茶店に行くと、入口で「おたばこはお吸いになりますか?」と聞かれることがほとんどだ。筆者はこの問いかけを聞いて「あっ、そうか。日本じゃ飲食店の店内で『いまだに』たばこが吸えるんだ」と自分が帰国したことを実感する。欧州のほとんどの国では現在、飲食店の席に座ったままで、グラス片手に、あるいは前菜とメインディッシュの間とかといったタイミングでちょっと一服、ということはかなえられない。店内は「分煙」ではなく「完全禁煙」だからだ。
■ 欧州では喫煙者への風当たりが強い
禁煙や分煙への取り組みについて、日本では「他人に対する受動喫煙の影響」が主に語られる傾向にあるが、欧州では「喫煙行為そのものを否定」という立場を取っている。
欧州の喫煙者に対する風当たりは実に厳しい。レストランなどからの喫煙者締め出しだけでない。法外なたばこ税を課してたばこをできるだけ買わせないようにしているほか、店ではたばこが顧客の目に容易に触れないよう棚に扉を付ける、さらには包装からロゴを外す、といったようにあの手この手で「人の手からたばこを遠ざける」政策を進めている。
■ 日本のたばこは買いやすいし、しかも安い
日本でのたばこの売られ方は、英国とはまったく異なっている。
前述の英国人、ポールさんは「いやー、ニッポンに行って驚いたのはコンビニなどでも簡単にたばこが買えるし、しかも安い。専用カードがなければ買えないとはいえ、たばこの自販機まで街のいたるところにある。自販機なんて英国からはとうの昔に消えてなくなっている」と驚きを隠さない。
あくまで感覚的な比較だが、日本は先進国の中では「喫煙者にとって過ごしやすい国」なのかもしれない。
一方、徹底してたばこを遠ざけて暮らしている「嫌煙主義者」にとって、日本は「たばこの煙から逃げるのが難しくてつらい国」と感じられるようだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151130-00094244-toyo-soci