政府と沖縄県の対立が緊迫化している。林芳正農水相は30日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、翁長雄志知事が沖縄防衛局に出した作業停止指示を一時的に無効とする「執行停止」を決定した。
防衛局側の「外交・防衛上の損害」という主張を認めたもので、海底ボーリング調査などの作業は続行される。
こうしたなか、翁長氏の訪中計画が注目されている。
「じっくり精査して、記者会見する」
翁長氏は30日、決定を受け、県庁で記者団にこう語った。
28日には、政府の対応を「理不尽だ」とも語っていた。
ただ、翁長氏が「サンゴ礁が損傷した」として23日に出した海底作業停止指示には、「国防意識が欠如している」「(中国による)今そこにある危機から目を閉ざしている」(元ニューヨーク・タイムズ東京支局長、ヘンリー・S・ストークス氏)などの批判もある。
県側は27日、申し立てを退けるよう求める意見書を林農水相に提出していた。
翁長氏は、防衛局が30日までに指示に従わなければ作業許可を取り消すと警告していたが、林農水相がの指示の執行停止により、許可取り消しは困難となった。
県幹部は「弁護士の協力を得て法廷闘争への備えを急ぐ」と語っているという。
こうしたなか、沖縄タイムズと琉球新報は25日、「翁長知事 来月に訪中 貿易促進協に同行」「翁長知事、経済交流促進で来月訪中 要人面談も」と、それぞれ報じた。
あの河野洋平元衆院議長が会長を務める日本国際貿易促進協会の訪問団の一員として、4月に訪中するという。
物流や観光などの分野で経済交流促進を働き掛ける意向というが、このタイミングでの訪中をどう受け止めるべきか。
国際政治学者の藤井厳喜氏は「核を持った大国である中国が、沖縄県の一部である尖閣諸島周辺に連日のように侵入している。
翁長氏はこの国防上の危機を理解しているのか。地政学上、米軍のプレゼンスは必要だ。
政府との関係がギクシャクした時期に訪中すれば、中国が仕掛けている『琉球独立論』に利用されかねない」と語っている。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150330/dms1503301202004-n1.htm