「イスラム国」人質:「接点の街」トルコ国境は緊張
イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に拘束された後藤健二さん(47)の解放を巡る情報が流れた28日、トルコのシリア国境沿いにあるアクチャカレ検問所前には、日本やトルコのメディア関係者が多数詰めかけた。ISは昨年、付近でフランス人やトルコ人の人質を解放したことがあるからだ。
29日の新たな音声メッセージで、ISが後藤さんとの「人質交換」の場所として指定したトルコ境界もここを指す可能性がある。
28日午後6時(日本時間29日午前1時)。既に暗闇に包まれ、検問所の門の明かりだけが周囲を照らす。気温は0度近い。
すぐこの先はISが支配するシリア北部タラビヤドだ。南に80キロ下れば、ISが「首都」機能を置くラッカがある。
ISの活動範囲はシリアやイラクの北部で、シリア南部のヨルダンと国境を接する地域は、アサド政権や反体制派が押さえる。
一方、シリア北部とトルコ南部の国境線は約900キロに及ぶが、アクチャカレ検問所付近は自らの支配地域に接するため、ISはここを人質解放の場所に選んできたとみられる。
ISは昨年4月、フランス人ジャーナリスト4人をこの付近で解放。両手を縛られ目隠しされた状態で放置されているのをトルコ治安当局が保護した。
また、同年9月には、在イラク・トルコ領事館の総領事やトラック運転手ら49人をこの検問所から解放した。
地元ザマン紙によると、人質は全員ラッカ付近に拘束されていたが、ISがアクチャカレ検問所に移送したという。
「イスラム国に入りたいか。フェンスを越えて少し行く程度なら100トルコリラ(約4900円)で連れて行ってやるよ」。取材中、見知らぬ男が小声でささやいた。
「カメラを預けてくれれば、わたしが中に入って撮って来てもいい」。そう言って長い間、食い下がった。
シリアと国境を接するトルコ南部のアクチャカレやキリスなど「国境の町」には、外国人の密出入国を手助けしたり、逆にISの外国人誘拐に手を貸したりする業者がいるとされる。
地元に住むイリヤス・ジョシュさん(29)が言った。「日本は国力のある国なのに、力に頼らず対話で問題を解決しようとするから好きだ。(後藤さんは)無事に解放されてほしい」
http://mainichi.jp/select/news/20150129k0000e030197000c.html
政府「非公表だった」後藤さん不明 去年11月に把握
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000043284.html
菅官房長官は、過激派組織「イスラム国」に拘束されている後藤健二さんについて、去年11月に行方不明になっていることを把握し、官邸連絡室などを立ち上げ、情報収集にあたっていたことを明らかにしました。「事案の性質上、非公表だった」と説明しています。
また、菅長官は、ヨルダン政府との協議について「極めて厳しい状況のなかで、後藤さんの早期解放に全力で取り組んでいる」と述べるにとどめました。