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【読売新聞】 足りない!公務員獣医師…自治体は奪い合い


足りない!公務員獣医師…自治体は奪い合い
2017年05月31日 12時32分

全国の都道府県で家畜防疫などを担う公務員獣医師の採用難が続いている状況を受け、青森県が獣医師確保に向けた取り組みに本腰を入れている。

受験者を増やすことを狙い、給与の上乗せで待遇を改善するほか、受験会場を増やしている。
これらの効果もあって受験者は増えているものの、他の自治体との競争で合格者が辞退し、定員を満たせていない状況が続いており、県は待遇面の良さや、仕事の魅力をアピールする考えだ。

県では一度の試験で定員を満たせず、追加募集する状態が続いている。
そのため、県は2016年度から獣医師の職員を対象に、採用後15年間、基本給に上乗せする「初任給調整手当」の支給額を増やした。
最初の10年間は月4万5000円を上乗せする。15年間での総額は675万円と「全国トップクラス」(保健衛生課)という。

さらに、試験会場も、東京、青森市の2会場に加え、16年度からは北里大学獣医学部がある十和田市を追加。
17年度からは北海道も加え、県内外で受験しやすくしている。
このほか、一定期間県職員として勤務すれば返済が不要になる修学資金の貸与も行うなど、アピールに躍起だ。

効果も表れており、26日に締め切った17年度の募集では、定員13人に対し21人の申し込みがあった。
追加分を含まない申し込みは14年度の11人、15年度の9人から、16年度は21人に増えている。

※以下略
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170531-OYT1T50068.html


【読売新聞】 富裕層に重税を課すことは、働く意欲をそぎ、成長を鈍化させる要因になりかねない

資本主義経済の下では貧富の格差が拡大を続ける宿命にあるのか。

フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が著書「21世紀の資本」で提唱した理論を巡り、世界で活発な論議が巻き起こっている。
「ピケティ現象」とも言われるブームに火が付いたのは、一握りの経営者の巨額報酬など格差問題が深刻化した米国だ。

欧米を中心に200年以上の税務統計を分析したところ、株式や不動産などの資産から得られる利益の伸びが、賃金上昇率を上回っていたことが分かったという。

ピケティ氏はこうしたデータを根拠に、将来にわたって資産家への富の集中が続き、貧富の差は拡大していくと結論付けた。

確かに、著書に掲載された多くの図表からは、不平等が広がっていく傾向が見て取れる。
経済発展とともに格差は解消するという、経済学で主流の説を覆す内容が、学界をはじめ各方面に一石を投じた意義は大きい。

一方で、自説を裏付けるために都合のいいデータを選んでいる、といった指摘もされている。

ピケティ氏の主張で疑問なのは、格差解消の処方箋として、富裕層に対する世界的な資産課税強化を提唱していることである。
税負担の軽い国や地域に資産が逃避するのを防ぐ狙いだろうが、各国が一斉に増税で歩調を合わせることは、政治的にも実務的にも、ほとんど不可能だ。
そもそも、報酬が従業員の数百倍の経営者も珍しくない米国より日本の格差は小さいなど、国によって状況は大きく異なる。
税制を同列に論じるのは無理がある。

富裕層に重税を課すことは、働く意欲をそぎ、成長を鈍化させる要因になりかねない。

ピケティ説に乗じ、過剰な所得再分配を求める声が、日本でも強まってきたのは気がかりだ。

成長の恩恵を受ける富裕層と、取り残される低・中間所得層という単純な図式を掲げ、バラマキ策を唱えるのは無責任だ。
教育や職業訓練の充実など、努力すれば所得を向上できる機会を広げる政策にこそ、力を注ぐべきである。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150125-OYT1T50131.html