今年も終わりを迎えるこの時期、戯作者で作家の松崎菊也さん、漫画家のやくみつるさん、コラムニストのペリー荻野さんが一年を振り返る。
松崎:物議発言でいえば、2月のソチ五輪でフィギュアスケートの浅田真央さんがショートプログラムで転んでし まった後、東京五輪組織委員会の会長も務める森喜朗元首相が「あの子は大事なときに必ず転ぶ」と発 言しましたね。森さん、あなたが言いますか、と質問してやりたかった。
やく:森さんこそ、大事なときに必ず何か言っちゃう。
松崎:森元首相で都々逸を一つ。「大事な時に 必ず転ぶ あんた総理で 転んだよ」。
やく:ソチ五輪は、羽生結弦君の金メダルで、世の中の気分が明るくなった。救われましたね。
松崎:あの手足の長さは、たまげました。
ぺリー:時代劇研究家の私とすれば、あのスタイルは異世界の人です。時代劇は、手足が短くて顔が大きく、 腰が沈む人が主役だから、すべて逆。
やく:時代劇のかつらは似合いそうにないですね。
ただ、11月8日に上海であったGPシリーズ中国杯で、頭に包帯を巻いた羽生結弦君が演技を終えて号泣 しましたね。アスリートがああも泣くか?というのが私の意見です。
直前の練習で中国選手と衝突して負傷し、演技では何度も転倒したが、2位に踏ん張った。
感極まったのはわかるが、泣き虫だなあ、と。自分が泣いてもサマになるという意識が、無自覚のうちにあ るからなのでは、と思ってしまう。フィギュアはナルシストのスポーツですからね。
朝日新聞dot.[2014/12/18 11:30]※週刊朝日 2014年12月26日号より抜粋
http://dot.asahi.com/ent/showbiz/2014121700063.html
ソチ五輪で活躍した羽生結弦選手