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【登山部】高尾山で見かけた“とんでも実態” トレイルラン、ペット連れやポイ捨て、山頂は大宴会場に

トレイルランにペット連れやポイ捨て…高尾山で見かけた“とんでも実態”

「登山道はだれのものか」-。登山のスポーツ競技化、ファッション化に伴い、山のルールをめぐるトラブルが後を絶たない。
登山競走を楽しむ「トレイルラン」(略してトレラン)の愛好家の増加によって、狭く険しい山道では一般登山客と“一触即発”の状況だ。
桜が満開の頃、ミシュランの旅行ガイドに三つ星の山に選定されている高尾山(東京都八王子市)で見かけた“とんでも実態”を紹介する。

■何でもありの高尾山

都心から電車で約1時間。登山口までのアクセスがいい高尾山は週末ごとに多くの登山客やハイカーでにぎわう。
ロープウエーや複数の登山ルートが整備。初心者でも登れる高尾山は“登山銀座”のにぎわいを呈している。
標高599メートルと、スカイツリー(高さ634メートル)と比べても35メートル低いが、その歴史は奈良時代にさかのぼる。

日本の名峰を紹介した『日本百名山』(新潮社)で知られる作家、深田久弥(きゅうや)は、標高わずか876メートルの筑波山を百名山に推した理由を「歴史が古いこと」を挙げた。
山の価値は標高や山容だけで決まるわけではないのである。

開山から1270年。「信仰の山」としても名高い高尾山を登山競走のトレーニングの場として利用するアスリートの存在は以前から聞いていたが、あまりの多さに驚いた。
登山道を数分おきにジョギングとはいえないスピードで駆け上がっていく。登山客を抜く際に速度を落としたり、声をかけて注意を促すランナーはまれだ。
多くが無言のまま駆け抜けていく。中には高齢のハイカーも多く、接触するだけで転倒や滑落の危険もありそうだ。

人間同士のトラブルだけでなく、山を走ることは登山道を傷めることにもつながり、山に生育する植生にも影響が出てくるだろう。
最近ではマウンテンバイクを山に乗り入れたりする愛好家もおり、深刻な問題になっている。トレランなどを規制する動きは一部で出ているが、現段階ではそれぞれのモラルに頼っている状況だ。